2010年6月 全青司フォローアップ研修会
平成22年6月12日~13日は、四谷の司法書士会館で全青司主催のフォローアップ研修会が行われました。
今回は、事前準備も手伝いつつ、受講者として参加しました。
プログラムは
1日目 質問の仕方を考える 、 模擬事例検討会
2日目 役割交換エクササイズ、調停フィッシュボール(役者さんとともに)
今回のフォローアップ研修会にあたっては、何をするのか?について講師の入江先生と事前に電話をしたときに多人数で構成する対話促進方法(ファシリテーション等)の要素を含み、コンテンツ(内容)として応諾困難事例や調停困難事例の模擬検討会を行う、予定とのお話でした。
新潟において、調停自体も複数当事者(ケースマネージャー、主・副調停人、書記、当事者)そして、運営自体も複数という状況で、すべてのプロセスについて合意形成の難しさを実感していたので、この研修は、とっても期待していました。
以下、実際に研修を受けた感想を書いてみたいと思います。
1)質問の仕方を考える
関川の期待:
コミュニケーション・対話の基本は、「聴く」と「話す」この相互作用が重要
傾聴については、メディエーション・トレーニングでもかなり研修しているが、「話す」については、あまりやっていないところ。個人的には、カウンセリングと同様にメディエーションも「質問の技術」が問われると思っています。
メディエーターが申込人・相手方を目の前にして、どちらか一方に対する質問をすることで、その質問自体とそれの返答が、別の一方に影響を及ぼすような効果を持つことができればいいなと思っています。
レビン先生のトレーニングでお聞きした上司と部下のメディエーションの中で、一方的にしゃべりまくる上司に対峙した時に、メディエーションが部下に「Are you OK?」と聞いたことで上司が静かになった、そんなスゴイ質問を繰り出せるようになるのが(私の)理想です。
というような質問の仕方のヒントや実践を勉強できるものと期待していました。
実際:
個別事例に対して、各自が質問を考え、それを付箋に書く。その後、ふせんを分類整理するというオーダーでした。
結果、分類することに気を取られ、内容を深く検討することができず、ちょっと腑に落ちないまま終了になってしまいました。
自分自身も進め方がマズかったのが反省です。
2)模擬事例検討会
関川の勘違い:
各グループがそれぞれ事例を選び、ファシリエイティブに議論を進められる司会役をそれぞれ配置し、ファシリテーションも学びながら、議論を進める練習、そして、実際の事例に対して議論をすると思っていました。
実際:
代表グループが選ばれた題材について、議論する。他の方はそれを見ている。
関川が書記をする。時に会場から意見を求める。
議論に参加されない方は、議論のすすめ方の実際を本当に学べたのか?ちょっと心配になりました。
私は、ファシリテーション・グラフィックの練習をさせてもらえてよかったですが。。。
最後に1題は各グループで議論しました。
3)役割交換エクササイズ
こちらは、ものすごく面白かったです。というか、事前の予想を覆す感想を持ちました。
また、入江先生ご説明のハーバードの研修意図とも違うようでした。
やり方としては、
1)支援者に自分の立場を話す→相手になって、支援者に相手の立場を話す
2)最後の自分が相手になってみる。
5月にアサーティブジャパンの講座を受けたときに同じ問題を扱いました。その時の心理的負担は相当だったので、今回はもっと、負荷がかかると思っていました。
しかし、自分自身は相手になっているのに、私役の方が私の立場で一生懸命話してくれるのです。この言葉が、直接、私への応援メッセージとなって聞こえてくるため、なんだか晴れ晴れした気分になっている私がいました。
よく考えれば、私は相手役の時に相手の気持ちにはなっていませんでした。(本当はこれではだめなんでしょうが)
私もご一緒したNさんも、自分だったら、言えないことを、自分役の相手が言ってたねという共通したフィードバックが出てきたのでした。
そして、現実には言えないけれど、もし、言ったらどんな気持ち、どんなこと・事態になるかのシュミレーションをしているかのようだったと気づきました。
4)ロールプレイ
今回、最大の気づきは、ホンモノの事例にまさる教材はなし
新潟では、数々の苦労・失敗を積み重ねてきましたが、まさにそれが私たちの財産であると気づいたのです。
エジソンが「私は失敗していない。これではうまくいかないという発見を1万回したのだ」と言っているのを、正に実感しています。
ロープレはDVDに落として下さるそうなので、是非これを元に勉強会を開きたいです
撮影と編集、機材操作はNさんに本当にお世話になりました。心から感謝しています。
全青司のトレーニングは毎年毎年、変化しています。今後またどんな面白いプログラムが出てくるかな~と楽しみです。
16日には、新潟県司法書士会館で前回の事例検討会を行います。メンバーにいろんな報告ができそうです。
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コメント
詳しく書き込みありがとうございます。
プログラムの実施についても事前準備を含めお世話になりました。
来られた方が、行って良かったなとおもっていただけてたらよかったのですが。
ところで、「今回、最大の気づきは、ホンモノの事例にまさる教材はなし」と書かれている文意はどういうことでしょう?
役者さんをもってしてもホンモノとは違うということでしょうか?役者さんはホンモノさながらだったので勉強になった、ということを改めて感じたということでしょうか。
投稿: ヱ | 2010年6月15日 (火) 11時53分
入江先生、コメントありがとうございます。
ご質問の答えは、前者です。途中、当事者双方が、調停人からの「ある質問」に対して、こんなことを答える必要があるのか、という返答がありました。
これはなぜか?という検討会での問いに名波さんから、ファクトシートにないので、困ってそんな答えをしたのではないかというご指摘がありまして、1日たったあと、私自身も当事者役で同じ事(それは、模擬裁判の原告役の時でした)を体験したことを思い出し、そのとおりかもと思ったのです。
仕方のないことですが、完全な再現はできないのだろうと思います。
そして、これまた、単なる私見ですが、新潟でやってきた案件は各所に困難を伴いました。ケースマネージメント・事前相談・応諾要請・日程調整すべてのプロセスで毎回いろんなことが起こります。調停期日でも、当事者は調停人のほんのささいな一言にもこだわり、怒り、センターへの批判をします。
前回の調停では、調停人からも調停のはじめは、全員が緊張していてナーバスになっているから、(私の)パソコンの音もうるさくて気になった。静かにすべきだとのフィードバックがあり、本当にそのとおりだと思いました。そういうことにまで細心の注意を払う必要があることがわかりました。
今回は調停の場面だけを扱い、大波も少なく終わったので、私からみるとまだ”おだやか”に見えたのでした。
申込書ひとつとっても、実践開始後11バージョン目です。実践は本当にいろんなことを教えてくれます。しかも、私たちが行うべきは実践です。ですから、その実践に耐えられるべき人材育成をしたいのです。
またまた気負っているようで、恐縮ですが、思っていることの一部を述べさせて頂きました。
投稿: せきかわ | 2010年6月15日 (火) 13時49分
うーん・・という感想です。
わたしは、すごく厳しい現実でがんばっている。こんな程度のロールプレイで衝撃を受けているようでは、まだまだ学びが浅いな・・ほかのみんなは・・ということなんですか??
でも、現実はこんなもんじゃない、もっともっと大変だと、こわい顔をして言うだけのトレーナーから何か学べるでしょうか?
メディエーション運動のリーダーとして、特定の環境から学べない理由探しで思考を終わらせるのでなく、よく学べるようにするには何が必要かを考えるスタンスを持っていただけるとうれしいなとおもいます。今回、役者さんに協力してもらってよかったところは多々あったと思うのですが。新潟のMさんの事案もよいものでしたし。
(今回のトレーニングでは、わたしは提供者としての責任があるので、至らなかったところはおわびしないといけないです。)
投稿: ヱ | 2010年6月15日 (火) 16時31分
入江先生
今回、古くからADRを研修しているのに、一度も試行したことがない、もしくは認証をとっているのに、1件も実践をやったことがないセンターがあることを知りました。
私は、トレーニングの大事さをよく知っているつもりです。一方、やはり実践から学ぶことが多いとも思っています。ですから、トレーニングだけやって、実践しないのはもったいない、是非、怖がらずに実践もやってほしいと思っているだけです。
やはり、メールのやりとりだけで真意を伝えるのは難しいですね。
投稿: セキカワ | 2010年6月15日 (火) 17時02分