司法書士が有償でADRを実施するためには
いままでわかったようなわからないような状態でいたこと
司法書士が各単位会事業としてADRを実施する場合、認証を得ないと有償での実施ができない、ということについてやっと条文上の位置づけがわかりました。
何をいまさら。。。といわれそうですが自分の理解のためにまとめてみます。
1.ADR法 第6条(認証の基準)
法務大臣は、前条の認証の申請をした者(以下「申請者」という。)が行う当該申請に係る民間紛争解決手続の業務が次に掲げる基準に適合し、かつ、申請者が当該業務を行うのに必要な知識及び能力並びに経理的基礎を有するものであると認めるときは、当該業務について認証をするものとする。
第5号では・・・
手続実施者が弁護士でない場合(司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第三 条第一項第七号に規定する紛争について行う民間紛争解決手続において、手続実施者が同条第二項に規定する司法書士である場合を除く。)において、民間紛争解決手続の実施に当たり法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときに、弁護士の助言を受けることができるようにするための措置を定めていること。
つまり、認定司法書士が140万円以下の民事事件で手続実施者になる場合は、弁護士の助言は不要
2.新潟県司法書士会会則 第3条(事業)
(13)裁判外紛争解決手続の実施に関する事項
よって、新潟県司法書士会はADRを事業として実施できる。
3.司法書士法 第3条(業務)
6号 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。
7号 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法 の規定による訴訟手続の対 象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号
に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。
つまり、司法書士は、業として簡裁代理及び裁判外の和解について当事者一方のみの代理はできる。
司法書士法には司法書士が業務として、裁判外紛争解決手続の実施ができるという条文はない。
以下弁護士法72条と比較します。
弁護士法 第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
<結論>
司法書士は、140万円以下だからといって報酬を得る目的で”一司法書士として”紛争の和解(調停)はできない。
認証を得た各単位会で作る司法書士会調停センターは有償にてADRが実施できる。(ADR法第28条/報酬)~もちろん、無償でもOK
司法書士という資格概念から離れて、個人的に”法人または法人でない団体で代表者又は管理人の定めのある組織”(ADR法第5条)を作り、「紛争解決事業者」として、調停センターを立ち上げ、そのセンターが法務省の認証を得れば、有償にて調停が実施できる。もちろん、無償でもOK
その場合、手続実施者が認定司法書士の場合は140万円以下の民事事件は弁護士助言なしにできる。
手続実施者の司法書士に認定がない場合は、全ての事件において弁護士助言が必要
上記反対解釈として、報酬を得る目的がないならば法律(弁護士法72条)に抵触しない。
過去の兵庫県弁護士会の会長声明を再度読んでみました。
弁護士法72条の壁の高さ・厚さを改めて認識したところです。
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